分析家の独り言 269 (精神分析とコンサルティング)
精神分析は、基本的には分析家との会話により自分を見つめ、無意識を意識化し、コンプレックスを解消する洞察的気付き療法である。

クライアントは自分を知ることにより、足りないもの、欠けたもの、知らなかった物事を取り返していくことにもなる。

それが人として変容・成長することになっていく。

しかし、最初から「自分を見つめ知りたい」といって、分析に来る人はまずいない。

ほとんどは心の病(例えば神経症など)であったり、親子・夫婦・家族など対人の問題などで分析に来る。

その中でも多いのは、子どもの問題、不登校・ひきこもり・ニート・非行である。

例えば子どもがひきこもりで、その子どもをなんとか社会に出られるようにしたい、と分析に来る。

そのほとんどは、ひきこもりの子どもの母親である。

この母親に、「さあそれではあなたの無意識をみてみましょう。それにはまずお母さんあなたの養育史から話してください」とは言わない。

クライアントが話したいことを語ってもらい、子どもの様子、経過を聞き、どこに問題があるか、今日から子どもへの対応を変えてもらう部分を説明し、具体的にアドバイスする。

そこでは当然『オールOK』の話をする。(オールOK!子育て法 のページを参照)

なぜ、『オールOK』が必要なのか理由を説明し、今後子どもがとる可能性のある態度とその意味を理解してもらい、それでも『オールOK』できるか確認することもある。

『オールOK』をする気のない人、やらない人は次の予約をとって帰らない、がもちろんそれはクライアントの自由である。

私は自分の娘の不登校始め、多くの臨床例からも、『オールOK』以外に子どもが本当の意味で主体性を持ち、元気に活き活きと生き、自立していく方法に出会ったことがない。

『オールOK!子育て法』は私見や親の都合からいわれたものではなく、人間の心の発達の理論に基づいた子育て法である。

母親がこの子のために、自分の身を呈してもやると決めて実践してもらえば、子どもの変化・成長が見える。

そうなると、、『オールOK』するお母さんもしんどいながらも、これでいけると明るい光を見出してやっていく。

その中で、いくら、『オールOK』しようとしても出来ないことが出てくる。

そこに母親のコンプレックス・無意識が関与するので、少しずつそれにも触れながら、子どもへの対応法を話しさらに実践していけるようにサポートする。

これはほとんどコンサルティングである。

本来の意味での精神分析とは違うが、まず目の前の問題(ひきこもり)を解決するために必要なことである。

しかしまた、それに対応する中で自然、母親は自分を振り返り、いろんなことに気付いても行く。

そういう部分では精神分析としての意味合いがある。

『精神分析』というと、いきなり自分の心を分析される、または精神鑑定と間違う方がいるがそうではない。

精神分析が扱うのは、人が生きること全てに関することなので、まずはクライアントの話をよく聴き、何を求めているのかを見極めて治療方針を立てる。

分析はクライアントの利益のためになされるものである。


ラカン精神科学研究所のホームページ
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by lacan_msl | 2009-09-29 09:15 | 分析家の独り言 | Comments(0)
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