分析家の語らい 18(ヴァニラさんの理想はフランス人形)

フジテレビ系「金曜プレミアム キテレツ人生!第6弾」で、

ヴァニラさんの理想はフランス人形だと言いました。

次の整形手術のための下調べのために人形のお店に行き、

人形を手に取って「こういう顔になりたい」と言います。

それは人形だから可愛いのであって、人間の顔としてはまた別だと思いますが。

彼女の自我理想(なりたい理想的自分)はフランス人形。

彼女自身が人間で無い、物であるから、人形という物を理想とします。


彼女は学校で「ブス」と言われいじめられ、

父親に「しようがないだろう。ブスなんだから。我慢しろ」と言われました。

そうして否定され傷ついた彼女は、

祖母の家で飾られていたフランス人形を見ました。

そして、「自分もフランス人形になりたい」

「これだけ可愛ければいじめられる事もないだろう」

「お金を払って飾ってあるわけだから、こういう存在になればいいんだと思った」

と言います。

なぜフランス人形なのかは、これでよくわかります。

彼女がフランス人形のようになりたい原点はここにありました。

お金を払ってまで飾ってある=価値がある。

可愛という事は価値があり、可愛ければいじめにあわない。

彼女のなりたい条件をみたしているフランス人形に私がなりたい、となります。


番組中で彼女の父親は登場し彼女の口からも語られましたが、

母親については何も語られませんでした。

子どもにとって鏡像となる母親の存在が無かったか歪んでいたのではないかと

考えます。

母のまなざしの中に子どもである自分はどのように映っているのだろうか。

かわいい子・いい子としてか、憎たらしい子・悪い子として

映っているのだろうかと、子どもは母のまなざしに意味を見出します。

その母があたたかいまなざしで見守り愛情を持って、可愛いと彼女に言ったなら、

ここまで整形を繰り返す事はなかったのではないかと思います。


人形のように大きな目になりたいとは、

「自分を見て欲しい」という自己愛を示します。

彼女の心の叫びが聞こえます。

意味を書き換えれば、もうそれ以上自傷行為のような整形手術を繰り返して

自分を痛めつけなくても済むのにと思います。

フランス人形という理想に向かう彼女にとっては大きなお世話でしょうが。


           ラカン精神科学研究所 セラピスト 登張豊実


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by lacan_msl | 2017-11-06 23:23 | 分析家の語らい | Comments(0)
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